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2019/03/10 20:51

◆印判とは?

さまざまな文様やデザインがある、和骨董の世界。

そのジャンルの一つに、「印判」というものがあります。
手描きとは違って、模様をうつわに転写したものです。



江戸時代から少しずつ用いられるようになったこの技術は、
近代化が進んだ明治以降から急成長を遂げます。

日本各地にある窯元では、もともと陶磁器は
うつわの形を作る職人、窯で焼く職人、
絵付け職人など、担当分けされた
分業制によって作られていました。

時間と技術が求められる手描きのうつわは、
その労力から高価で、一般市民の手には
渡りにくかったものです。

しかし明治以降に、型紙や銅板によって
柄や文様をうつわに転写した印判が登場し、
市民の手にも繊細なデザインがほどこされた
うつわが広まっていきます。

◆型紙摺りの印判

まず一つ目は、型紙を使って柄を転写する技法
防水処理をした紙に文様を彫り、うつわに押し当て
藍色の呉須(顔料)を摺りこむことで
文様をプリントする方法です。



紙に文様を彫るため、短い切れ目が入ったような
独特の柄の出方が特徴です。

あまり細密な絵柄は転写できなかったため、
どこかどこかぼんやりと、でもゆるく優しげな
雰囲気がうまれるこの技法。
合わせるお食事も、どことなくあっさりとした
和のものが合いそうです。

◆銅板による印判

一方で、さらに精密なデザインや文様を

転写できるようになったのが、銅板を用いた技法です。




これはエッチングの技術を応用したもので、
銅の板に刻んだ溝の部分に顔料を摺りこみ、
いったん紙に移したあと、うつわに貼り付けて
文様を転写する、というものでした。

型紙よりも耐久性にすぐれ、
細く長い線も転写できたことから
型紙摺りの印判にとって代わる技術として
広まっていきました。

これら銅板による印判のうつわは大量生産に向いており、
職人の力量に頼らず様々な図柄にチャレンジできたことから、
ユニークなデザインのうつわも多く残っています。

繊細な線と、新しい文化の幕開けを
象徴するかのようなユニークなデザインは、
洋風なお食事にもうまく馴染んでくれます。


クラシックな型紙摺りの印判と、
レトロモダンな銅板による印判。

あなたはどちらがお好みですか?


---迦史庵---